2025年10月 アーカイブ

2025年10月15日 7時44分12秒 (Wed)

諸賞流の今の稽古

 マスコミやSNSの情報には、いわゆる盛ったものが沢山あります。たまに見かける諸賞流の情報にも、同様に、大袈裟なものが見られます。当て身の稽古で血を吐くとか・・・、です。しかし、そんなことが日常的に起きていたら稽古になりませんし、死にます。それに、当て身用の防具ですけれども、これはもう手に入らない(作れない)貴重なものですから、そんな滅多やたらに蹴れません。ですから、演武会の時ぐらいしか使いません。通常の稽古では、当て身は、相手の構えた手のひらに当てますし、思いっきり当てるような無礼なまねもしません。
 数稽古(かずげいこ)についても、昔の情報が表立っていて、少々気まずさを感じます。数稽古とは、昇級試験と言うか、昇級のための関門と言うべきもので、一つの形を規定数だけ行わないと、次の形に進めないという稽古方法です。途中で手直しが入ると数に入れないので、例えば規定数25としても、それより多い数の稽古をすることになります。数稽古については、たしか、江戸時代後期の記録だったと思いますけれど、二千数百手(記憶が曖昧・・・)の稽古をしたというものも残っていますし、68代の御宗家の世代は一晩かかったと言いますから、昔は想像を絶する稽古をしていたものと思われます。ただ、私の世代はそれだけのことはしてきておらず、たしか・・・記憶が曖昧ですけれど、規定数9で4時間くらいだったと思います。以前、68代の御宗家に、一晩かかるような数稽古をお願いしたところ、首を縦に振って頂けませんでした。必要ないと思われたのか、時代に合わないと思われたのかは定かではありませんけれども、少なくとも、私の世代は、二千数百という数には遠く及ばず、その十分の一くらいのことしかしてきていません。

 いつか規定数25の数稽古をしてみたいと思ってきましたけれども、そろそろ、身体が言うことをきかないでしょうね。

2025年10月14日 12時29分17秒 (Tue)

杖で相手の腕を刀ごと持ち上げることは可能か?

 杖先を固定物等に引っ掛けて、条件を整えて私が個人的に考える理想的な打ち込みの体勢で重みを掛けると、杖はかなり撓みます。下手をすると折れそうです。
 つまり、私が杖先に掛けられる重みの限界(主に肩甲骨周りの筋肉の限界)(※1)と、杖の耐えられる限界は近いところにあり、掛けられる重み(この場合、加速度は考えていません)の限界はこの辺だな、と推測が付きます。
 ただ、通常の稽古で杖があれ程撓むことはありませんから、技の流れの中で、瞬間的に杖先に最大の重さを掛けることの難しさが解ります。

※1  杖の太さ(表面積)、体重、筋肉量、肩の使い方、握り方等の違いによって、当然変わります。

 これとは別に、前出の下関の御師範と稽古をしていたときに、御師範が、相手が斬り込んできたときの相手の手もとの重みは約○kgですと、おっしゃられました。ご自身で量ったそうです(量り方は聞いていません)。
 攻撃時の重みという点で、御師範も似たようなことを考えていらしたのだと思い、少しうれしくなりました。
 御師範はさらに、その相手の手もとを杖で持ち上げることができるかどうかを、試してみましょうと言って、紐を括りつけた上記○kgより若干軽い鉄アレイを持って来られて、私が一方を両手で支えた杖の他端に、その鉄アレイを吊り下げられました。杖はかなり撓んで下手をしたら折れそうでしたし、自分の手もとと鉄アレイの間に距離があってモーメント(回転力)が発生するので、これを持ち上げることは至難と思われました。

 神道夢想流では、斬り込んできた相手の腕を、杖先辺りで刀ごと持ち上げる技があります。稽古仲間の間でも、この技が実現可能なのかについて、よく議論になります。今までの検証の結果として、単純な重みとモーメントと杖の耐久性だけで考えると、答えは“不可能"と出ます。
 不可能と思われる技を可能にするには、相手の意図や動きに乗じることと、相手の反射を利用することとが、必要になりそうです。

2025年10月13日 5時17分39秒 (Mon)

諸賞流の組み討ちについて

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 68代の御宗家達がNHKに出演されたとき(※※)に、諸賞流は、甲冑兵法の粋で紹介されたものですから、組み討ちで相手の首を取りに行くイメージを強く印象付けらていたように思います。
 ただ、諸賞流は、一般の形が多くを占めており、組み討ちの形が多くあるわけではありません。

※※2023年2月15日放送 明鏡止水~武のKAMIWAZA~「戦国の武!甲冑兵法」

 組み討ちの形の、一般の形との違いは、上のGIF(※)を見てのとおりで、双方短刀(鎧通し)を持つことと、相手が兜を被っていることを想定していることと、頸動脈を切ってとどめを刺すことです。

 一般の形での攻撃対象は、目、喉、頸動脈、脇の下、肘関節、みぞおち、金的ですから、確かに組み討ち時にも有効なものですけれども、一般の形の動きそのものは、もっと身軽な状態を想定しているように思えます。少なくとも、一般の形に、双方が甲冑を着けた状態を想起させる所作はありません。また、相手を制する側が武器を持っていない場合も多くありますので、頸動脈を切る程に明確にとどめを刺す所作もありません。

 一般の形が多くを占めることからみて、私の個人的な印象では、諸賞流は、素肌体術であり、その技法が甲冑兵法の組み討ちにも即転用可能な武術、という位置付けになると思います。


※(公財)日本武道館・日本古武道協会(著作権者)から、映像・画像の使用の許可を頂いております。
転載を禁止します。

2025年10月12日 5時19分25秒 (Sun)

諸賞流の真の投げ技

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 上のGIF(※)は諸賞流の投げ技です。おそらく、昔は、稽古場に畳がなかったでしょうから、その名残りで空転受け身をとることになっていると思われます。
 空転受け身は、稽古上の方便で、真の投げ技は、相手に受け身なんか取らせずに頭から垂直に落とします。当然ながら、極めて危険な技です。

 だいぶ前のことですが、日本武道館での演武で、68代の御宗家の弟弟子に当たる方(後の70代師範)に、真に近い投げ技を見せるように言われ、頭から落とすように命じられたので、言われるがままに、その方を頭から落としたことがあります。その方は、首がいくらか変な方に曲がっているように見えましたけれども、ご自身の腕で頭をぎりぎりガードをしていましたし、私も頭が接地する瞬間にその方を支えていました。ただ、武道館の中央に居ると、観客席のざわめきがひときわ耳に入るものですから、「あれっ!? 俺、なにかやらかした?」と焦ったことを憶えています。ちなみに、後の70代師範は、演武直後に駆け付けた雑誌記者の取材に上機嫌で対応していましたので、結果オーライでした。
 ただ、あのときは事なきを得ましたけれど、一歩間違えると大怪我につながっていたと思います。稽古でも演武でも、危険なことは止めましょう。


※(公財)日本武道館・日本古武道協会(著作権者)から、映像・画像の使用の許可を頂いております。
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2025年10月11日 11時11分26秒 (Sat)

諸賞流の体系

 諸賞流(しょしょうりゅう)は古流の柔術です。稽古方法は基本的に形稽古です。形には、大きく分けて、座り技と立ち技があります。形は、仕掛けた側が相手を制する場合もありますし、仕掛けに応じた側が相手を制する場合もあります。仕掛けは、鎧通しと目される短刀か、或いは、素手で行うことが大半で、まれに、大太刀や六尺棒で行います。そして、一つの形を五段階で稽古します。
 その五段階とは、1) 基本となる柔術、2) 返し技、3) 当て身技、4) 瞬時に逆を取る技、5) 一撃の技です。
 この五つのうち、1)、3)、4)、5) は、制する側が同じですけれども、2) だけが逆転します。この2) の返し技をもって奥義とする考えもあります。一方で、3)の当て身技が最も重要だと言ったりもします。

 上記の座り技と立ち技の他に、投げ技と組み討ちがあります。


 下のGIF(※)は、だいぶ前に、珍しく、一つの形を五段階で演武したときのものです。予備知識がなければ、五つの形を並べているように見えるのでしょうけれども、これらが全部一つの形に属する訳です。

  一段階目:基本となる柔術
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  二段階目:返し技
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  三段階目:当て身技
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  四段階目:瞬時に逆を取る技
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  五段階目:一撃の技
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※(公財)日本武道館・日本古武道協会(著作権者)から、映像・画像の使用の許可を頂いております。
転載を禁止します。

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